院長の小坂です。今日は、私たちのクリニックが一番力を入れている「食べること」、つまり栄養指導についてお話しします。
「栄養指導」と聞くと、なんだか「あれはダメ、これはダメ」と怒られる保健室のようなイメージを持たれるかもしれませんね。でも、うちの管理栄養士はちょっと違います。彼女のミッションは、皆さんに「我慢させること」ではなく、「最後まで美味しく食べてもらうこと」なんです。
「無事に退院できた!さあ、家でゆっくりしよう」
そう思っていたのに、数週間も経たずになんだか元気がなくなっている……。そんな経験はありませんか?
実は、最新の医学研究でも、「退院後にちゃんとした栄養サポートを受けている人は、そうでない人に比べて死亡リスクが約37%も下がる」という驚きの結果が出ています。
病院の食事は計算し尽くされていますが、お家に戻るとそうはいきません。
「お粥しか食べられない」「好きなものしか口にしない」「そもそも作るのが大変」
こうした小さなつまずきが、実は「再入院」への一番の近道になってしまうのです。
そこで私たちの出番です。当院には管理栄養士が1名おり、外来だけでなく、皆さんのご自宅へ直接伺う「訪問栄養指導」を行っています。
これが、実はものすごく面白いんです。
診察室では「野菜も食べてますよ」とおっしゃっていた患者さんの冷蔵庫を、管理栄養士が(もちろん許可を得て!)そっと覗かせていただくと……
「あれ、漬物しか入っていない!」
「このレトルト、実は今の飲み込みの力には硬すぎるかも?」
「このお茶に、少しだけとろみをつければもっと楽に飲めますよ」
なんていう、「生活のリアル」に根ざした作戦会議ができるのです。
介護をしているご家族の皆さんは、本当によく頑張っていらっしゃいます。「もっとタンパク質を摂らせなきゃ」「塩分を控えなきゃ」と、毎日が献立との戦いですよね。
でも、専門家を頼ってください。
私たちの管理栄養士は、「手抜き」のプロでもあります。「市販のゼリーをこう使えば栄養満点」「このコンビニ惣菜なら安心して出せる」といった、明日から楽になる知恵をたくさん持っています。
「医者は薬を出すけれど、体を作るのは食事だけ」です。
当院の管理栄養士は、今日もどこかのお宅で「これなら食べられそうですね!」と笑顔で冷蔵庫の整理をしているかもしれません。
もし、「最近、親が痩せてきたな」「食事の準備が限界……」と感じたら、一人で悩まずにぜひ外来でご相談ください。あ、もちろん、私に「最近ちょっとお腹が出てきたんだけど……」という相談でも構いませんよ(笑)。
「最後まで、自分らしく食べる」。
そのお手伝いを、私たちクリニック一同、全力でサポートさせていただきます。
「訪問栄養指導って、具体的にいくらかかるの?」「うちの地域まで来てくれる?」といった事務的な疑問があれば、いつでも受付にお尋ねください!
これが現在、最も強力な根拠(エビデンス)の一つです。
文献名: Nutritional support after hospital discharge improves long-term mortality in malnourished adult medical patients: Systematic review and meta-analysis.
著者: Kaegi-Braun N, et al.
掲載誌: Clinical Nutrition, 2022 Nov;41(11):2431-2441. [SJR: 2.21, Cited: 30] doi: 10.1016/j.clnu.2022.09.011. Epub 2022 Sep 28.
内容: 2,438人を対象とした14のRCTを解析。退院後の栄養サポートにより、全死因死亡リスクが37%減少したことを示しています。
「訪問」に近い形での継続的なフォローアップの有効性を示しています。
文献名: Nutritional follow-up after discharge prevents readmission to hospital.
著者: J Lindegaard Pedersen, et al.
掲載誌: J Nutr Aging. 2017;21(1):75-82. [SJR: 1.23, Cited: 36]
doi: 10.1007/s12603-016-0745-7.
内容: 退院後に栄養士が自宅訪問または電話で個別指導を行った結果、6ヶ月後の再入院率が約45%減少(介入群21% vs 対照群39%)したことを報告しています。