診察室でよく「先生、これ以上薬を増やしたくないんだけど……」という切実なご相談を受けます。実は、私も全く同意見です! 必要のない薬は、一錠だって飲んでほしくありません。
今日は、最新のガイドライン(日本高血圧学会やアメリカ心臓病協会)が推奨する「130/80mmHg未満」を目指す本当の理由と、その数値を正確に把握するための「家庭での新習慣」についてお話しします。
「140でもいいじゃない」と思うかもしれませんが、血圧をしっかり130/80未満にコントロールできると、将来の景色が劇的に変わります。
心臓・血管の重大イベント: 約 25% 減少
心不全のリスク: 約 38% 減少
全死亡率: 約 27% 減少
これ、投資で言えば「元本保証で25%以上のリターン」があるようなもの。10年後、20年後も趣味や旅行を全力で楽しむための、最高に効率の良い投資なんです。
なぜ私が、皆さんに家で血圧を測ってほしいとしつこく(笑)言うのか。それは、「あなたに本当に必要なだけの薬」を、プロとして正確に見極めたいからです。
病院で測ると緊張して高くなる「白衣高血圧」の方は意外と多いもの。もし診察室の数値だけで判断したら、本当は必要ないのに薬が増えてしまうかもしれません。
逆に、リラックスした家での数値がしっかり分かれば、「家では安定しているから、今は薬を増やさなくて大丈夫だね」と、自信を持って判断できるのです。
最近は便利な時計型も増えましたが、医療の世界では「上腕式(腕にカフを巻くタイプ)」が唯一の正解です。手首式や時計型は手軽ですが、心臓との高さが少しズレるだけで数値が暴れます。薬の量を決める大事な判断材料ですから、ぜひ「上腕式」を相棒に選んでください。
「測り方」ひとつで、数値は変わります。今日から以下の「2・2・2の法則」を試してみてください。
静寂の「2〜5分」 血圧計の前に座って、すぐにスイッチを押すのはNGです! 2分〜5分間は背もたれに寄りかかってボーッとしてください。スマホも会話も我慢。
朝と夕の「2回」 朝(起床後1時間以内、トイレの後、朝食前)と、晩(寝る前)の1日2回測るのが理想です。
1機会に「2回」測って平均をとる 一度測って「高い!」と一喜一憂しなくて大丈夫。1〜2分空けてもう一度測り、その2回の平均値を記録してください。それがあなたの「真実の血圧」に最も近い数字です。
血圧管理は、決して「我慢の連続」ではありません。むしろ、自分の体の状態を正確に知るための「取扱説明書」を作るようなものです。
正しい測定で「130/80」をキープできれば、血管の老化を食い止め、いつまでも好きな場所へ出かけ、美味しいものを楽しめる体でいられます。
「よし、明日の朝は5分じっとしてから、2回測ってみるか」 そう思っていただけたら嬉しいです。次回の診察で、皆さんの「精鋭データ」を拝見できるのを楽しみにしています!