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アドバンス・ケア・プランニングを始める時

2018/10/23

6669344a58e2a5b73278f19cf8f72088_s前回、アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)のお話をしました。前回にもでてきたACPのタイミングについてです。

実際にどのタイミングで話しあい始めるのがいいのでしょうか?

家庭医の中では家族カンファレンスをすべきタイミングというものがあります。
①入院
②終末期ケア
③高齢者の入所
④患者のケアを障害している家族の葛藤や機能不全
(『家族志向のプライマリ・ケア』S.H.マクダニエル著、松下明訳。シュプリンガー・フェアラーク東京より引用)

上記に準じるとACPを始めるのは①、②が望ましいと考えられます。それと③を考えるときにも必要でしょう。

①は特に超高齢者の場合や急性の重症の病気、慢性の病気の致死的な症状悪化、終末期の病状の悪化の場合です。

②は終末期の病気と診断された時です。ACPとは異なりますが、患者さんがお亡くなりになられたときもご家族と会うのは必須とされています。

③は高齢者の施設への入所を考える時に同時にACPを行うのも良いと考えます。患者さんがどのような余生を過ごしたいのかを基準にどうするかを決めていくと良いと考えます。

なぜ、このタイミングかというと、あまり早い時期にしてしまうと真剣に考えづらいということと、遅いと患者さんがきちんと話し合う能力を失ってしまっていたり、ショックが大きいということにもなりうるからです。

①や③の場合、遅すぎになる懸念もありますが、その段階になってACPをしないという選択肢はもうないとも考えられます。

ですので、割と元気なうちから、でも、自分がやがて死ぬことも実感できる段階になったら始めるのがベストといえるのでしょうね。

では、それはいつなの?ということになります。

・患者さんが今後どうなっていくかを話す時。
・成功の可能性が低い治療について話し合う時。
・希望と恐怖について話し合う時。
・患者さんが半年〜1年以内に死亡しても医師が驚かない場合。
(『終末期医療のエビデンス』ステファン・J・マクフィーら著、日経メディカル編。第1章表1−1より参照)

が良いタイミングと言えるでしょう。

そして、人の気分や考えは変わるものなので、折りをみて時々、話題にあげるのがよいと思います。

そして、毎日1日1日を丁寧に生き、その日1日が良い1日だったと言えるように生きれるといいですね。日々是好日ですね。

10月12日のほがらかトーククラブはマインドフルネス

2018/10/15

1c364bd45877b3001b8ad3df90317e5e_s10月12日に行いました『桜の宮ほがらかトーククラブ』は「心が軽くなるマインドフルネス」というテーマで行いました。

今回は21名の方にご参加いただき、学び、交流を深めてもらいました。

内容はマインドフルネスについて大まかな説明。最も基本となる呼吸の瞑想、そして手の観察、レモンの観察を行いました。

どれも、参加者の方々には良い気づきがあったものと思います。

他にも様々なマインドフルネスの実践方法がありますので、一度、本を読んだり、セミナーに参加するなどして学ばれてもよいと思います。

次回の『桜の宮ほがらかトーククラブ』は12月14日午後1時半〜午後3時桜の宮福祉センターで開催予定です。

アドバンス・ケア・プランニングって?

2018/10/06

17975458a1ef4d5f7d0adff88fd45509_sアドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning:以下ACP)って聞いたことありますか?
最近、医療、介護の世界で話題になっている言葉です。
誤解を恐れずに簡単に言うと、『人生の終末期をどのように生き、どのように死にたいかを考えて計画すること』です。

なぜ、今、話題なのかというと、日本は今後、多死高齢化社会を迎えます。患者さんが望まない延命・救命処置やそのための救急搬送の増加が懸念されているからです。

平成29年の消防庁の統計では年間救急車の搬送人数は574万人。うち高齢者は337万人に上り、搬送人数は平成28年と比較して約12万人増加し、高齢者の搬送は平成24年と比較すると58万人増加しています。

過去にアメリカでは救命・延命治療を希望するかしないを書いた事前指示書があれば、そのような処置は行わないようにするという法律ができました。しかし、事前指示書の有無は救急搬送を減らさないし、延命・救命処置の数も減らさないという研究結果がでました。

そこで新しい概念として生まれてきたのがACPです。ACPは終末期をこれから迎える方が残りの人生をその人らしくすごすために医療や介護の面も含めて、家族と呼べる人たちと医療、介護にたずさわる人たちもときに含めながら話し合い、意志を共有し計画することです。そして、繰り返し話し合い、再度、意志を共有するということが大切です。

しかし、この繰り返しとはどのくらいの間隔で話し合うべきなのでしょうか?はっきりしていません。1ヶ月?3ヶ月?1年?

その人の状態によるとは思います。何事もなければ誕生日毎に家族全員で話しあうというのはどうでしょうか?あと何ヶ月かもしれないという方は1ヶ月ごとくらいが良いのかもしれませんが、そこに答えはまだありません。

そこで私たち医療者はどういう役割を担うべきなのでしょうか?

私たち医療者にできることはACPのきっかけ作り、情報提供、話し合いの場の司会進行程度です。

でも、きちんとACPの話し合いをしようと考えると、おそらく最低でも30分は必要とすると思います。ただ、1時間もすると人間の集中力のピークはこえているので、その時間内におさめるほうがいいでしょう。

何も決まらなければ次回にまわせば良いのです。焦る必要はありません。

ACPをするもしないも患者さんあるいは意思決定能力を失ってしまった患者さんの場合はそのご家族次第です。したくなければしなくてもいいと思います。

ただ、人生をより良く生きる為に、最良を希望して、最悪に備えるにこしたこともありません。リスクに備えるということです。
そして良い人生を送る計画を立てておくことも大切だと考えています。

でも、人間いつ死ぬかわからないのに、医学的に終末期とわかっているひとだけ話し合うっておかしいと思いませんか?

話はかわりますが、だれもが心の底からいつ死んでも大丈夫と思えるように毎日を生きることは大切だと思います。日々是好日ですね。

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