院長の小坂です。長らく膝が痛むから湿布が欲しいという患者さんはたくさんいらっしゃいます。そんな湿布だけでその場しのぎをしている方々に知っておいてほしい、自分でできる治療法を今回はお教えしたいと思います。
膝の痛みには太ももの前側の筋力を鍛えれば良い
膝の痛みの原因は多くありますが、60代以降の慢性的な膝の痛みの原因は変形性関節症による痛みが多いです。これは膝の半月板という軟骨がすり減って起こります。すり減った軟骨を再生することはできないのですが、代わりに太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることで痛み止めの飲み薬と同じくらい痛みを抑える効果があるとされています。
膝を曲げることさえ痛む場合
膝を曲げることさえできないくらい痛い、あるいは曲げるだけで痛む場合は膝を伸ばしたまま足を上げるトレーニングがおすすめです。ストレイトレッグレイズ(SLR)と呼ばれる方法です。
まず、仰向けに寝ます。そして、片足の膝を伸ばしたままできるだけ上にあげます。上まであげたら、ゆっくり降ろします。
これを最低週3回1日20回3セットを目標に行いましょう。痛くない方もバランスを取るために行います。最初は結構きついので一度に数回しかできないかもしれません。そういった場合はできる範囲で、嫌にならない範囲で行いましょう。続けることが何より大切です。
この方法を患者さんに教えたら、膝の痛みが全くなくなってジョギングできるようになったという方もいらっしゃいました。
膝を曲げるくらいはできるが歩く・走ると痛む
膝を曲げてもそれほど痛まない、歩くなどする時に支障が出る程度の人にはスクワットがおすすめです。
スクワットは筋力トレーニングの有名な種目ですが、注意点が3つあります。
一つは膝の向きとつま先の向きが同じであること。膝の怪我を防ぎます。
もう一つは可能な限り深くしゃがみ込むこと。そうすることでより効果的になります。
3つ目は視線は前かやや上向きで背中、腰、腹をしっかり膨らませて背骨をまっすぐに保つこと。これで腰への負担をなくせます。
足の力だけだときつい場合は腕の力で補助しても良いです。テーブルなどに手をついて、手を下に押しながら体を持ち上げるようにしても良いです。
これも1日20回3セット、週3日を目標にやってみましょう。最初は少ない回数からでも良いですので、続けることが大切です。
スクワットはお尻の筋肉も鍛えられ、さらに股関節、太ももの柔軟性も高めることができ、さらにさらに腰痛にも効果があるのでとてもおすすめです。
膝関節の隙間を広げるだけでも効果的なことも
変形性膝関節症の方は膝の関節の隙間が狭くなっています。この隙間を広げるようなストレッチも有効です。
まず、2kg程度の重りを足につけます。砂鉄が入った足や腕に負けるトレーニング道具があるので、ホームセンターなどでも買うことができます。そして、高めの椅子に座ります。できれば、足がつかないような。足がブラブラと床につかない程度の高さの椅子に座ることができたなら、そのまま足をブラブラします。これを5分間。足が床につく椅子しか用意できない場合は痛い方の足を上にして、足を組みます。その足を下に垂らして、同じようにブラブラ。5分間行います。
あるいはテニスボールを膝裏に挟んで正座しても良いでしょう。やりやすい方で良いと思います。
このようにして自分でできる膝の痛み解消法があるので、ぜひ試してみてくださいね。
ある冬の夜のことでした。私が救急病院で当直をしていたとき、13歳の少年が自宅マンションの3階から飛び降りた様子で心肺停止状態とのことで搬送されてきました。院内にいた医師、救急看護師全員で懸命な心肺蘇生を行いましたが、治療もむなしく帰らぬ人となってしまいました。
患者さんがどのような状況だったのか、話を聴いていると、搬送の2日前から発熱があり、搬送前日にインフルエンザと診断され抗インフルエンザ薬を処方されていたということでした。当時、その他にもインフルエンザでの異常行動が相次いで報告されており、抗インフルエンザ薬が関連しているのではないかと疑われ、現在ではその薬は10代の患者には投与しないよう指導されています。いまのところ異常行動の原因は薬剤との関係は証明できておらず、熱せん妄やインフルエンザ脳症によるものと考えられています。
このように未来ある若者の命が防げる可能性がある病気で失われるのはとても悲しいことです。いまある抗インフルエンザ薬にも重症化を予防できる十分な科学的根拠は証明されておらず、このような悲しい出来事を減らすには予防する他ないという状態です。
ではどうしたら予防できるのか。うがい、手洗い、運動や規則正しい生活、予防接種などが考えられます。残念ながらワクチンを接種してもインフルエンザにかかってしまう方はいます。
しかし、私はワクチンをより多くの人が接種することでこのようなインフルエンザによって失われていた幼い、若い命を救えるのではないかと期待しています。だから接種できない人以外どんどん接種してほしいと考えています。
当院に限らず、インフルエンザワクチンを接種しましょう。
神戸市在住で65歳未満の方でインフルエンザワクチンを契約医療機関で接種した場合は「神戸市行政措置予防接種」となり、万が一、重い健康被害が生じ、医療機関を受診した方は、接種との関連性が認定されると、神戸市の健康被害救済制度が適用される場合があります。神戸市のホームページからご確認ください。
インフルエンザワクチン外来開設!!
開設日
10月18日(土)、25日(土)
11月1日(土)、8日(土)、15日(土)、22日(土)、29日(土)
午後2時〜午後5時
ご予約のみとなりますので、電話またはインターネットでのご予約お願いします。
当院の接種料金
65歳以上 1500(神戸市外にお住まいの方は4850円)
13歳~64歳 4850
1歳~12歳 2650※
6ヶ月~11ヶ月 2400※
経鼻インフルエンザワクチン (2歳~19歳のみ) 10000 痛くない!!
*以下の方は無料で接種できます。
満65歳以上または満60歳~64歳で身体障害者手帳1級相当の方で、以下をお持ちの方
●高齢者インフルエンザ予防接種無料対象確認証 ●生活保護適用証明書または生活保護法医療券●介護保険料のお知らせ(介護保険料第1、2、3段階のもの) ●神戸市発行の公害医療手帳●(中国残留邦人等)確認証または証明書 ●後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証
*以下の方はインフルエンザワクチンを接種はできません
●過去にインフルエンザワクチンを接種してアナフィラキシー症状がでた方
●熱が37.5度以上あるか、体の具合が著しく悪い方(医師にご相談ください)
※生活保護を受給されている世帯の小学生以下のお子様も無料で接種いたします。
こんにちは、院長の小坂です。
最近ネットで「4毒」という言葉が話題になっているそうです。患者さんから教えてもらって知ったのですが、その4毒とは
小麦粉・砂糖・油・乳製品 のこと。

「これをやめたら元気になった!」「健康になった!」という声もあるようですが……。
結論から言いますと、科学的根拠はありません。
ダイエット食品の広告にある「効果には個人差があります」と同じレベルの話なんです。では、それぞれについて簡単に見てみましょう。
多くの人にとっては、食べ過ぎなければ害はありません。
特に全粒粉は食物繊維が豊富で、むしろ健康的です。
ただし、セリアック病や小麦アレルギーの方は除外が必要です。
それ以外の人にとって「小麦をやめるメリット」はありません。
砂糖=ショ糖で、ブドウ糖と果糖からなる二糖類です。
「甘いもの全部NG」としてしまうと、ハチミツや果物まで入ってしまいます。
特に果物はビタミンや食物繊維が多く、むしろ血糖値が上がりにくいという研究もあるくらいです。
つまり「砂糖も食べ過ぎなければ問題なし」です。
牛乳やヨーグルトも摂りすぎなければ問題ありません。
アレルギーや乳糖不耐症の方は避ける必要がありますが、それ以外の人が無理にやめる必要はありません。
給食の牛乳が苦手なら飲まなくても大丈夫。他の食品で十分に栄養は補えます。
これは4つの中で一番注意が必要かもしれません。
サラダ油やマーガリン、酸化した油は動脈硬化を進める可能性があります。
一方で、オリーブ油や魚油などのオメガ3脂肪酸は健康に良い油です。
地中海食が有名ですね。
とはいえ、天ぷらやフライ、美味しいですよね。油は私たちの食生活に欠かせない存在です。
卵や赤身肉、加工肉を大量に食べると、糖尿病や大腸がんのリスクが上がるという研究があります。
「4毒」に含まれていないのはちょっと不思議です。
要するに、どんな食材も“ほどほど”が大切ということです。
私は4毒と呼ばれる食品を毎日食べていますが、元気にトライアスロンもしています。そして、実年齢よりいつも10歳くらい若く見られます。(ひょっとしてお世辞で言われてる?)
大事なのは「バランス」と「運動」。
運動をしないで油や糖分を摂りすぎれば、当然不健康になります。
健康的な食材(オリーブ油・茶色い炭水化物・野菜や果物・魚)を多めに取り入れ、量は控えめに。
余分な糖分や油は運動で消費することが一番です。
👉 「4毒」は本当の毒ではありません。
心配するよりも、バランス良く食べて体を動かすことが、何よりの健康法ですよ。