2025年2月22日『ケアとまちづくり未来会議』が阪急三宮の駅ビルにあるANCHOR KOBEにて開催されました。われわれ、こさか家庭医療クリニック・こさか訪問看護ステーションも協賛として参加してまいりました。
全国からたくさんの参加者が来られており、私たちのブースの隣は町田市から来られたまちの丘病院の方々、隣は徳島の神山町から来られたおうち診療所の方々でした。
第一部はケアするまちに潜るー長田からなぜー
長田区の介護付き高齢者住宅『ハッピーの家ろっけん』の首藤義敬さん、長田区のゲストハウス『とまりぎ』の小笠原舞さん、兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授の永田夏来さんらがスピーカーとしてお話しされました。
第2部はコミュニティデザインする。ケアしケアされるカタチを探る。竹端寛さん(兵庫県立大学)田北雅裕さん(九州大学)内田友紀さん(都市デザイナー)らがスピーカーとしてお話しされました。
そのほか、間の時間にも地域で様々な活動をしている方の発表を聞くことができました。特に印象に残った言葉として「枠をはずす」「あいまいな空間・リミナル」でした。「枠をはずす」はハッピーの家ろっけんの首藤さんが頻繁に語っていた言葉で、「病気や認知症」などといった枠を外してみる、高齢者住宅という枠を外してみると面白いことが起きるというようなことを話しておられました。また、「あいまいな空間・リミナル」はその結果として生まれるようなもので兵庫教育大学の永田さんが話しておられました。あいまいな空間にいると自然と役割が生まれるといった内容だったと思います。また、この話で思い出したのは年はごちゃごちゃとした路地がないと人が集まらず発展しないという話を聞いたことがあり、似ているなと思いました。
ごちゃごちゃした楽しい空間は一見落ち着かないようで、そこに人が集まれば自然と何か面白いものが生まれてくる。
当院も一度、クリニックという枠を取り払って何か面白いことができないか考えたいと思いました。例えば、一般の待合は図書館にするとか、カフェにしてみるとか?何か、人が面白そうだから、楽しそうだからと集まるようなスペースを作ってみたいですね。
立春を迎えましたが、まだまだ寒いですね。冬は風邪の季節でもあります。皆さんは風邪をひいた時、どうしてますか?早く治したいから、早めに病院を受診するようにしている。休んでいれば治るので、休養に努める。どんなに症状が辛くても仕事を休めないから、仕事をする!それぞれ、患者さんの経験や価値観によって違いますよね。
風邪の早い段階で医療機関を受診すれば早く風邪は良くなるか?
数十年前までは風邪の早いうちに病院を受診してお薬をもらったら早く良くなるという考えの人は医者も含めて多かったように思います。私の子供の頃も風邪をひいたら、すぐに自宅の風邪薬と抗生物質を飲まされていました。今考えると、父は無駄なことをしていたなと思いますが、当時のほとんどの医者はそうしていました。
無駄な?と思われましたか?そうなんです。昔から言われている通り、風邪を治す薬を発明したらノーベル賞を取れるとまで言われていました。今でもそうです。風邪のほとんどの原因はさまざまなウィルス感染です。ウィルスに抗生物質は効果ありません。抗生物質は細菌を殺すお薬です。細菌とウィルスはサイズが全く違っており、細菌は光学顕微鏡で観察することができますが、ウィルスは電子顕微鏡でないと観察することができないくらい小さいものです。
また、風邪の原因が細菌感染であったとしても抗生物質を飲んでも飲まななくても治るまでの期間に差はないと言われています。風邪は急性上気道炎と呼ばれます。肺炎は下気道の炎症になります。上気道とは耳、副鼻腔を含む鼻、のど、気管支までのことを指します。これらが炎症が起きた時の症状として、のどの痛み、鼻水、鼻詰まり、頭痛、耳の痛み、咳、痰が出ます。面白いことに肺炎の人にはほとんど鼻水は出ないことがわかっています。
つまり、鼻水、鼻詰まりの人に抗生物質を出して効果があることはあまりないです。ただし、症状の強い急性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や7日以上改善しない副鼻腔炎、中耳炎の方には抗生物質を使用します。
風邪の診断の人に抗生物質を出すと数百人に一人くらいの割合で副作用が見られ、抗生物質のおかげで症状が改善する人は10万人に一人程度という研究結果があります。
風邪薬で風邪は早く治るか?
抗生物質で風邪が早く治らないのは理解してもらえたかと思います。では、総合感冒薬や去痰剤や咳止め薬などに風邪を早く治す効果はあるのでしょうか?
こちらも先ほど説明した通り、早く治ることはありません。しかし、熱さまし・痛みどめ、痰のキレをよくするお薬や鼻水どめなどのお薬は大人の場合は症状をある程度和らげてくれることが期待できます。子供の場合は熱さまし・痛みどめ以外に効果的な症状を和らげてくれるお薬は今の所の研究ではないのが現状です。咳止めは大人、子供に関わらず偽の薬と比較して効果に差がないとされており、依存症や眠気などの副作用のため、実は推奨されません。
以上から風邪はいくら早めに薬を飲んだからと言って、早く治りはしないということです。早く良くするためには休むことが大切です。くれぐれも無理して仕事や学校には行かないようにしましょう。仕事の成果は上がらないし、同僚にも感染させ、より業績悪化させかねないので自宅でゆっくり休むようにすることを勧めます。
2月に入ると花粉症が気になってくる季節ですね。花粉症とは毎年、同じ季節に鼻汁や目の痒みなどの症状が出る病気のことを言います。診断には必ずしも検査は必要ありません。
花粉症がすでにある方は様々な対策を講じておられると思います。マスクにゴーグル、メガネなど有効です。
鼻水や鼻詰まりなどの鼻炎症状にはまずはステロイド点鼻液を試し、無効なら抗ヒスタミン剤の点鼻液を追加。それでも無効なら飲み薬の抗ヒスタミン剤を追加したりします。
目の痒みなどの結膜炎症状には抗ヒスタミン剤の点眼液、無効ならステロイド点眼液や消炎鎮痛作用のある点眼液。それでも無効なら抗ヒスタミン剤の飲み薬を追加します。
市販の薬でも病院やクリニックで処方される薬と同じ効果のあるものがあります。
例えば
ステロイド点鼻液
アレルカットEXc <季節性アレルギー専用>(第一三共ヘルスケア)
ナザールαAR0.1%(佐藤製薬)
フルナーゼ点鼻液(Haleon)
コールタイジン点鼻薬(ジョンソン・エンド・ジョンソン) ※など
抗ヒスタミン剤・血管収縮剤点鼻液
ヒストミン点鼻液(小林薬品工業)※
ナザールスプレー(佐藤製薬)※など
※血管収縮薬が含まれており薬剤性鼻漏を防ぐため、連続使用は3日間までにとどめましょう。
抗ヒスタミン剤点眼液
ロートアルガードクリアブロッククリアブロックZ(ロート製薬)
アイリスAGユニット(大正製薬)
眼涼アルファーストEX(久光製薬)など
抗ヒスタミン剤の内服
アレグラFX(久光製薬)
クラリチンEX(大正製薬)
アレルギール錠110錠(第一三共ヘルスケア)など
があります。分からなければドラッグストアの薬剤師さんに聞いてみるのが良いでしょう。