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お母さんになりたい人とお母さんが知っておくべき8つの知識

2016/02/21

まったく季節とは関係ありませんが、今回はお母さん、お母さんにこれからなる人が知っておくべき(意外な?)8つの知識をまとめてみます。

妊娠前から葉酸をとりましょう

葉酸を妊娠前からサプリメントとしてとっておくことで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害による二分脊椎や無脳症、脳瘤などの先天的な異常の発生を75%減少できます(参考文献:Farahi N, Zolotor A : Recommendation for preconception counseling and care. Am Fam Physician, 88(8): 499-506, 2013. )。妊娠してから赤ちゃんの脳や脊髄になる神経管という器官が閉鎖するのは妊娠6~7週で、それまでに補充しておく必要があり、推奨される摂取期間と用量は妊娠1カ月前から妊娠6~12週まで、1日400μgの葉酸摂取を勧められています。
なぜサプリメントかというと、日常の食生活では日本人の平均的な葉酸摂取量は1日200~250㎍(厚生労働省:平成24年国民健康・栄養調査報告, 2014.)であり、通常400㎍の葉酸摂取はむずかしいので、市販のサプリメントでよいので補充が必要となります。葉酸は摂取しすぎても、余計な分は尿とともに出ていきます。極端な話をするといつ妊娠をしてもいいように、初めて生理が来た時から葉酸のサプリメントをとることは勧められるということです。

妊娠前に風疹の予防接種を受けましょう

妊娠3カ月までに風疹にかかると赤ちゃんが先天性風疹症候群という先天的な異常を起こす危険性が高まります。この病気は生まれつきの心臓病、難聴、白内障が代表的な症状で治療法はなく、生涯この病気と付き合わねばなりません。このため予防がもっとも重要になります。そのためにはお母さんになる人とその周りの人の予防接種が最も有効です。現在は子供のうちに風疹ワクチンは2回接種が定期接種となっていますが、まだ接種していない大人は大勢おられます。風疹ワクチンを2回接種した記録がなければ、抗体検査をまたずに2回接種しておくことをお勧めします。たとえ、過去に2回接種していたことがあとになってわかっても、特別な害はおきません。また、妊婦健診で風疹抗体を測定されますが、抗体が16倍以下とわかった場合は出産後、退院時に風疹ワクチンを接種してもらいましょう。

妊娠経過に問題なければ運動はした方がいい

早産の経験やそのほか基礎疾患(心臓病など)や妊娠経過に異常などがなければ、たいていの運動は可能です。むしろ、体重管理や妊娠中の諸症状の改善のためにも適度な運動はおすすめです。多くのプールで妊婦は遊泳禁止のこともありますが、水泳も可能です。ただし、飛び込みは避けたほうがよいでしょう。避けるべき運動は格闘技やラグビーなどのコンタクトスポーツやロッククライミングなど生命に危険が及ぶ可能性の高いスポーツはやめておきましょう。

こどもの健康状態は見た目が重要

お子さまの健康状態を常に把握する責任を負っているお母さん、お父さんにとって、お子さまの状態の変化はとても心配になります。そこで、お子さまの状態の変化でとても大切なことは、見た目が元気かどうかです。たとえ、熱が39度くらいあっても見た目が元気ならまず安心していいでしょう。
また、母乳育児をされているお母さんにとってよくある悩みが母乳が足りていないのではないかという悩みはよく聞きます。これも赤ちゃんの見た目が大切で、赤ちゃんが機嫌よくすごしており、健診ごとの体重測定で少なくとも体重が1日12g~15g以上増えていれば何も問題ありません。また、母乳はミルクに比べて、すぐに胃を通過していくのでおなかがすきやすく、ミルクよりも頻回におっぱいをほしがります。頻回に母乳をしっかりあたえることで母乳分泌を長く保つことができ、乳腺炎の予防にもなります。

中耳炎も副鼻腔炎も”かぜ”の仲間

かぜ、急性中耳炎、急性副鼻腔炎のほとんどはウィルス感染が原因です。ほとんどの場合はかぜと同じで治療しなくても自然に治ります。また、ウィルスには抗生物質は効きません。鼻水止めを飲んでいても急性中耳炎や急性副鼻腔炎は防げません。ただし、中耳炎や副鼻腔炎で39度以上熱がある場合や痛みがひどいなどの重症の場合や、ある一定の期間(中耳炎なら生後6か月以上で2日間、副鼻腔炎なら10日間)様子を見てもよくならない場合は抗生物質が効く細菌感染によるものと考えられますので、小児科か耳鼻科を受診するようにしましょう。(参考文献:サンフォード感染症治療ガイド2015 )

こどものかぜ症状に効果がある薬は、解熱剤とハチミツ程度しかない

こどもの発熱や痛みに対してはアセトアミノフェン(商品名:カロナールなど)やイブプロフェン(商品名:ブルフェンなど)は症状を緩和することが研究でしめされています。しかし、咳や鼻水、鼻づまり、痰に対するお薬で効果があると考えられる研究結果があるものはほとんどありません。
ただし、ハチミツは咳症状に対し有効かもしれません。ハチミツを寝る前にティースプーン(2~5歳でティースプーン1杯、6~11歳でティースプーン2杯、12~18歳でティースプーン4杯程度)を水とともに飲ませると咳症状が改善し、お母さんもよく眠れたという研究結果があります。私の知っているのはソバのハチミツですが、他の花からとれたハチミツでも有効かもしれません。実は大人である妻も咳症状のあるときにためしたのですが、安物のハチミツはまずいだけで効果はありませんでしたが、少し高価なレンゲやアカシアなど花の名前が書かれている、純粋はちみつだと症状が良くなった経験があります。ただし、1歳未満のお子さんにハチミツは与えないようにしましょう。
(参考文献:Julia Fashuner, et al : Treatment of Common Cold in Children and Adults. Am Fam Physician, 86: 153-159, 2012.)

こどものお肌の手入れはぬるま湯で

こどものお肌はとてもデリケートです。子どもはしばしば湿疹やかぶれを起こします。多くの場合は適切なスキンケアで予防できます。スキンケアで最も大切なことは保湿です。必要以上に皮脂を落としてしまわないことが保湿で重要なことです。皮脂を必要以上に落としてしまうよくある原因が熱いお湯です。大人は40度以上のお湯につかるのは気持ちよくて、なんの問題もないことが多いですが、お子さんのお肌のためには少しぬるめ39度以下で体を洗うのが良いでしょう。水仕事をされる方は実感されていると思いますが、素手で熱いお湯で洗い物をするときと、ぬるま湯または水で洗いものをするときどちらのほうが手があれるでしょうか?熱いお湯ですよね。
こどものお肌をお手入れするときはぬるめのお湯で流し、泡立てた石鹸を乗せる程度にして、しっかり洗い流し、やわらかいタオルで優しく押し当てるように水分をとってあげましょう。

夫婦喧嘩でも、こどものPTSDにつながる

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は強い心的ストレスを受けた時に、後々になっても、その場面が時々、鮮明に思い出され、日常生活が困難になる病気です。夫婦喧嘩の目撃はこどもにとって強い心的ストレスとなります。
夫婦関係が良好なことはこどもにとってストレスは少ないです。逆に夫婦関係が悪かったりすると、子供には大変なストレスで、病気しやすくなったりします。あるいは夫婦の仲をとりもとうとして、本人は言葉でうまく伝えられないかわりに具合が悪くなることで訴えることもあります。
また、これをお読みのお母さんが暴力(身体的、性的、精神的、経済的)を受けている場合はまず自分とお子様の安全を確保してください。以下のような相談窓口がありますのでご相談ください。

内閣府男女共同参画局:配偶者からの暴力被害者支援情報
DV相談ナビ(全国統一ダイヤル):0570-0-55210
配偶者暴力相談支援センター(携帯電話用サイト)
法務省:女性の人権ホットライン:0570-070-810
警察庁:性犯罪被害相談電話設置一覧表
※このほかにも、各都道府県で相談窓口を設置しているので、各ホームページなどをご覧ください。

あるいは育児への不安、子供につらくあたってしまう、あるいは虐待(暴力、暴言、性的、ネグレクト)を目撃した場合は

児童相談所全国共通ダイヤル#189

へご相談ください。

夫婦は仲良く助け合っていくことが健やかなお子様の成長につながりますので、普段からお互いに感謝を伝えて、支えあっていきましょう。

そして、最後にネット上に書いてあることは本当のこともあれば単なる迷信やウソも多くあります。見極めは難しいですが、あれもダメ、これもダメと書いてあるようなものは科学的根拠に欠けていることが多いので疑ったほうがよいでしょう。また、たとえ素人にはわからない内容でも参考文献をいっしょに掲載してあるものはそうでないものよりも信じられる内容である確率は高いでしょう。むしろ、あなたをただただ不安にさせるようなものに信じる価値はありません。世の中知らなくていいことがたくさんあります。こんなことを書いてしまっては今まで書いてきたことはなんだったのかと思われるかもしれませんが、最高の智慧は「知らないということ」です。慈愛の心で接すればおのずと答えは見つかります。もっと自信をもっていいのです。

いつもの恵方巻を何も手を加えないで、もっとおいしく食べる方法

2016/02/01

ここ最近、インフルエンザが猛威をふるいつつありますね。インフルエンザの典型的な症状はご存知の通り、急な発熱、関節痛、咽頭痛、咳、鼻汁などで、たまに下痢、嘔吐などの消化器症状を伴うことがあります。多くは5日~7日程度で熱が下がり自然になおります。非常に感染力が強いので、インフルエンザワクチンを接種していても同居する家族などのすごく近い人が感染してしまうと、自分も感染してしまう確率が高いです。基本的に自然に治癒しますが、抗ウィルス薬を使用するという選択肢があります。原則的に特に慢性的なお病気をお持ちでない健康な人には勧めませんが、効能はどのお薬(商品名:タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ)熱の期間を半日~2日程度短くします。副作用に吐き気や腹痛などがあります。しかし、妊婦や出産後すぐのお母さん、2歳未満の子供、高齢者、慢性的な心臓病、肺の病気、免疫不全、免疫を下げるようなお薬を飲んでいる方は抗ウィルス薬を飲んだほうが良いので、医師にご相談ください。では、予防はどうすればよいかというと、当然、普段からの規則正しい生活、適度な運動、予防接種、手洗いです。

さて、この予防に実は「マインドフルネス瞑想」が効果があるかもしれないという研究結果があります。その研究の詳細は割愛しますが、マインドフルネス瞑想をすることは特にストレス軽減に対して効果が証明されつつあります。googleでも取り入れられ、最近、有名になってきているマインドフルネス瞑想ですが、一度は耳にした、あるいは目にしたことはあるでしょうか?
もともとはアメリカ人であるJ.カバットジン博士らによって”禅”と”ヨーガ”、”ヴィパッサナー瞑想”から臨床的に活用できるように改良されて、アメリカに広がり、今また日本に逆輸入されてきたような瞑想法です。今ではマインドフルネス瞑想はキリスト教徒やその他の信仰がある方々も実践しています。

一体、どんな効果があるのかというと、ストレスが軽減され、もっと上手に生きられるようになるというのが効能でしょう。マインドフルネス瞑想の目的は「今、この瞬間に集中して生きる」ようになることです。多くの人は日常を過去や未来の思いや考え、それにまつわる感情に日々とらわれて生きています。こうしたことにとらわれている限り、本当の自由を得られることはありません。マインドフルネスとは「気づき」を意味します。思いやりがあるとも日本語に訳すことができます。つまり、自分の思考や感情に気づくことは自分に対して思いやりをもって見ることができていると言えるでしょう。今、自分は何を考えているのか、何をイメージしていたのか、何が聞こえていたか、何を感じていたのか、そのときどんな感情だったのかをよく観察することがとても大切です。そして、今この瞬間にまた戻ってくればよいのです。私も毎日、5分~30分くらいは瞑想しています。これでは短いとおっしゃる方もいらっしゃいますが、効果はでているように思います。特に少し、今まではイラつくような出来事があっても、「あ、今イラついているな。どうしてだろう。これは○○という考えが起きてきたからだ。」と冷静にとらえることができるようになり、イラつきを行動に起こさなくなりました。また、先日、不覚にも風邪をひいたときに、夜中にのどがとてもイガイガして、咳をしたくなったのですが、「今、のどがイガイガしている。咳をしたいと思っている。でも、咳をすると妻を起こしてしまうので、やめておこう。」となって、咳こまずに済みました。で、なぜか翌日にはほとんど治ってしまいました。私の例はこれくらいにして、今、この瞬間に集中して生きている時間が長くなればなるほど、楽に生きられるようになります。

マインドフルネスを習得するために行うのが瞑想です。瞑想と聞いてよく思い浮かべるのが座禅のような座る瞑想ですね。実はほかにもいろいろな瞑想があります。生活のすべてが瞑想になるといっても過言ではありません。今回、季節的に特におすすめしたい瞑想があります。それは”食べる瞑想”です。
2月3日には節分がありますね。14日にはバレンタインデーもあります。そのとき、みなさん食べますよね。恵方巻、大豆、チョコなどなど。特に食べる瞑想をする絶好のチャンスは恵方巻を食べるときだと思います。恵方巻を食べるときって、ルールがありましたよね。そう、黙って食べることです。マインドフルネスの食べる瞑想も黙って食べます。普段、家族と一緒にいるのに黙って食事していたら、何か話せと言われますよね。普段から一人ごはんの人は毎回できますね。でも、違和感なく、黙って食べることが許されるときなのです。

それでは恵方巻で「食べる瞑想」の方法をお教えしようと思います。まず、目の前に恵方巻がありますね。それをまずは利き手にもち、よく観察します。色はどうでしょうか?光沢はありますか?凸凹していますか、それともなめらかでしょうか?感触はどうでしょう。つるつるしていますか、ざらざらしているでしょうか?温度はどうでしょう。冷たいですか?それとも温かいですか?硬さはどうですか?やわらかいですか?硬いですか?重さはどうでしょう?重いでしょうか、それとも軽い?手のひらと指先で感覚はちがうでしょうか?よく観察します。そして、反対の手に持ち替えて、またさっきと同様によく観察します。よく観察したら、においをかいでみましょう。どんなにおいがしますか?では、好きな方の手でも両手でもっていただいてもよいので、一口、口に入れます。噛んだ感覚はどうだったでしょうか?口に中はどんな感じでしょうか?舌触りは?歯触りはどうでしょう?甘いですか?辛いですか?酸っぱいでしょうか?それとも何か違う味はしますか?じっくり味わいます。そして、口の中で一度噛んでみましょう。どうでしょうか?何か変化は起きましたか?どんな味がしますか?どんな感覚だったでしょうか?何度か噛む、味わうを繰り返し、よく観察できたら飲み込みます。飲み込んだときも、味はどうか、どこで何を感じたのか、のどを通過するときはどんな感じなのかよく観察します。これを繰り返します。
この一連の観察を通じて生じてきた考えやイメージ、感情もよく観察してみてください。

どうでしょう?簡単ですよね。純粋に細部にわたるまで観察すればよいだけの話です。じっくり味わって食べてくださいね。今まで以上によく味がわかっておいしいと思いますよ。しかも、結構、おなかが満たされます。実際に私も食べる瞑想するとすぐにおなかがいっぱいになってしまいます。それで本来は十分な量ということなのでしょうね。生活習慣病の方には特に食べる瞑想おすすめです。

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