今回はプライマリ・ケア医(地域の家庭医/総合診療医)が増えると地域全体の平均寿命がのびるという研究結果を紹介します。
今回もアメリカの医学雑誌 JAMAからです。
2005年から2015年にかけての調査ですが、人口10万人に対し、プライマリ・ケア医が10人増えると平均寿命が51.5日延びるという調査結果がでました。プライマリ・ケア医に対して(臓器)専門医が人口10万人に対し10人増えると平均寿命は19.2日のびるという結果でした。
残念なことに2005年から2015年にかけてはアメリカではプライマリ・ケア医は減少したという結果でした。(元論文https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2724393)
個人的にはアメリカのプライマリ・ケア医はその専門医であるために厳格な更新制度もあり、やはりその恩恵もあると思います。が、プライマリ・ケア医は一般的に専門医よりも給料が低く、人気がでにくいというのが減少していった原因かもしれません。
日本では系統だった研修を受けたプライマリ・ケア医となるべき家庭医療専門医が増えているので、日本人の寿命はこれからもっとのびるかもしれませんね。
3月のみ院長 小坂が育児のため、夕方の診療体制が変更になります。
月金の夕方診療は野々上が担当。(但し、22日は小坂が担当)
第1,3水曜日の夕方は小坂が担当
第2,4水曜日の夕方は休診となります。
皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。
米国内科学会が面白い記事をのせていたので、私が読んだ要約を書こうと思います。
そのタイトルは「内科医 vs 家庭医」。
内容は対決しているわけではなくて、どんな違いがあるのかを解説しています。どんな内容かというと。
まず、歴史的なところから。
内科学・・・1800年代後半に医学への科学的知識の成人への応用から起きた。一方、1900年代の小児科はこどもの成長と発達に専念。
家庭医療学・・・1960年代初頭に医学の専門化が医師ー患者の信頼関係と継続的な医療を脅かすと考えられていたために一般開業医運動から生じた。概念的には特定の患者集団(こども、女性、成人など)や臓器(耳鼻科や泌尿器科)や治療方法の性質(手術や投薬など)にとらわれず、一つの社会単位(家族)を中心に構築。
では、内科医、家庭医になるための訓練はどう違うのでしょうか?
共通点・・・アメリカでは内科も家庭医療も基礎となる訓練期間は3年間と同じです。
内科・・・研修は(アメリカでは)包括的な成人の健康問題について十分な研修を受ける。そこには耳鼻科、精神医学、皮膚科、眼科、婦人科、手術をしない整形外科、緩和ケア、リハビリテーション、老年医学、睡眠医学を含む。
そして、外来と入院の両方で訓練をうける。最低1年は入院患者の対応、最低3ヶ月の重症患者に対応、さらに追加で1年以上は心臓病や胃腸、血液腫瘍などを含んだ病院での研修。
家庭医・・・主に外来診療を通して学ぶ。継続的に診ている患者集団の全年齢層を対象とした急性期、慢性期、健康維持について対応。家庭医も病院での入院患者への対応を6ヶ月以上、重症患者の対応を1ヶ月以上、こどもの急性期、入院患者の対応を2ヶ月、産科を2ヶ月と最低限の新生児医療、1ヶ月の婦人科、1ヶ月の手術、1ヶ月の老年医学、2ヶ月の手術しない整形外科を学ぶ。
ちなみに私のうけた家庭医療の研修は、内科の入院6ヶ月(腎臓内科1ヶ月、緩和ケア1ヶ月、リハビリテーション1ヶ月を含む)、産婦人科2ヶ月、小児科2ヶ月(うち新生児2週間)、皮膚科1ヶ月でクリニックでの外来診療は3年間継続的に行っていました。
研修、概念が違うので診療の特徴も異なります。
内科・・・成人のみを対象。成人の健康問題に対しては包括的でとても深い。総合内科は循環器や消化器内科などの他の専門化された内科ともよく連携をとることができる。多様で困難な病気をもつ患者を共同管理し、外来から入院への移行を簡単にする。
家庭医・・・すべての年齢層が対象。そのため、かかりつけ医として幅広い医学的問題に対処することが可能。また、地域の医学的なニーズに自分の診療の幅を適応させることができる。
内科医に比べて成人の医学的問題に対する知識・技量は深さはかなわないが、外来医学、継続診療、健康維持と病気予防に重点を置いているため、様々な家族の医学的ニーズに対応することができる。
原文はこちら➡( https://www.acponline.org/about-acp/about-internal-medicine/career-paths/medical-student-career-path/internal-medicine-vs-family-medicine )
ざっくり言うと内科医は成人のあらゆる医学的問題に対応し、主に病院で入院患者を対象に働く。家庭医は全年齢層のあらゆる医学的問題に対応し、地域に適応する。主に外来診療をしている。
ということで、私は内科医でも小児科医でも外科医でもなく、『家庭医』です。