こんにちは、こさか家庭医療クリニック院長の小坂です。
今回は「家庭医って、実はすごいんです!」というお話を、アメリカの医学雑誌 JAMA からご紹介します。
アメリカで2005年〜2015年にかけて行われた調査では、
人口10万人あたりの家庭医(プライマリ・ケア医)が10人増えると、平均寿命が約51.5日延びる
(JAMA Internal Medicine, 2019)
という結果が報告されました。
ちなみに、臓器ごとの専門医が10人増えても、寿命は約19日しか延びませんでした。
……ちょっと切ない数字差ですが、家庭医の底力を感じますね。
さらに、医療費との関係を調べた別の研究(Health Affairs, 2004)では、こんなことがわかりました。
専門医が人口1万人あたり1人増えると、医療の質はやや下がり、住民一人あたりの医療費が年間$526(約8万円)アップ
家庭医が1人増えると、医療の質が向上し、医療費が年間$689(約11万円)もダウン!
👛✨家庭医、まさかの“節約の味方”です。
専門医は特定の臓器や疾患に集中して診療しますが、家庭医は患者さん全体を診て、必要に応じて予防や早期介入もします。
つまり、**「こじらせる前に防ぐ」「本当に必要な治療に絞る」**という、じつに地味で実直な役割を果たしているのです。
とはいえアメリカでは、家庭医は専門医より給料が低いため志望者が少なく、実際に2005年〜2015年の間に数が減少してしまったそうです。これはちょっと残念…。
日本では現在、系統立てて研修を受けた**「家庭医療専門医・総合診療専門医」**が少しずつ増えています。
こさか家庭医療クリニックもその一員として、地域の皆さまの健康と安心をしっかり支えていきたいと思っています。
📣 なんでも相談できる「かかりつけ医」を、ぜひ味方につけてくださいね!
Basem Hassan et al.
“Association Between Physician Supply and Population Health Outcomes in the United States.”
JAMA Internal Medicine. 2019.
👉 https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2724393
Baicker K, Chandra A.
“Medicare spending, the physician workforce, and beneficiaries’ quality of care.”
Health Affairs. 2004 Jan-Jun; Suppl Web Exclusives:W4-184–97.
👉 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15451980/