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場面緘黙症と不安障害

2017/06/14

今回は場面緘黙症についてお勉強。

たまに、診察室で全く話さなくなるお子さんを診察することがあります。家族の前では話すのに、緊張したり学校では話せなくなるというお子さんです。

こうした症状のお子さんは場面緘黙症の疑いあります。これは不安障害の仲間の病気です。
5歳までに発症することが多く、2歳からも見られます。

他にも不安障害の仲間には
・全般性不安障害・・・過剰な不安を止められず、社会生活に支障をきたす状態
・社会不安障害・・・人前で何かをすることに極度に苦痛を感じ、逃げ出してしまうような状態
・広場恐怖症・・・広い場所に対する恐怖症
・特定の恐怖症・・・特定の者や状況に対する恐怖症
・分離不安障害・・・愛着のある人や物から離れることへの過剰な不安
があります。

 

子どもの不安障害は治療しなければ、将来、不十分な教育、うつ病、薬物乱用・依存症、自殺の危険性を増やします。
小児期/思春期の不安障害は成人してから不安障害やうつ病になる危険性が2~3倍高くなります。

お子様の不安障害が疑われる場合は、専門医を受診し、科学的根拠に基づいた治療をしてもらいましょう。6c3898d33133fa6932b178f94f3309a8_s

高齢者の貧血は治すのか、放っておくのか?

2017/06/12

今回は高齢者の貧血をどう管理するかです。

まずはよくある治療できるものかどうか探ります。
・鉄、ビタミンB12、葉酸欠乏はないか?
・感染、慢性的な炎症、悪性腫瘍が隠れていないか?
・骨髄異形成症候群?
・腎臓病はないか?
・アルコール多飲はないか?
・甲状腺機能低下症はないか?

症状のある貧血がある場合、患者さんの希望や年齢、状態などを考慮し治療をするか、よく話し合って決定します。
現在の高齢者の有症状の貧血に対する治療は赤血球輸血と赤血球形成刺激剤(erythropoiesis stimulating agents: ESAs)に限られています。(1)

軽度で無症状の説明のつかない貧血は治療対象にはなりません。

高齢者の貧血へのアプローチ

2017/06/09

高齢者(65歳以上)にときどき貧血が見られることがあります。どんなことが原因でどのように医師はアプローチすればよいのかUpToDateで勉強してみました。

一般成人での貧血は男性でヘモグロビン値(Hgb)が約13g/dL未満、女性で約12g/dL未満とされていますが、高齢者ではもう少し下になります。

高齢者の貧血はHgb>10g/dLであれば、軽度と言ってよいです。これを下回ると重症とされます。

一般にHgbが12d/dL未満または15g/dLより多いと死亡率が上昇すると多くの研究でいわれていますが、高齢者に貧血と結果を対象とした研究は少なく、無症状の貧血が及ぼす影響については未知といえます。

軽度の貧血が高齢者の運動機能の低下を強調することがしめされています。また貧血はふらつき、筋力低下、転倒とも関連します。

貧血と死亡率の上昇との関連も示されています。

最初にどうするか?

・当たり前ですが病歴と身体診察
・全血球数を測定
・必要最低限の腎機能を含んだ血液検査。鉄欠乏性貧血が疑われるなら血清鉄とフェリチン、ビタミンB12や葉酸欠乏が疑われるならそれらを、炎症性が疑われるなら赤沈、CRP、鉄、フェリチンを含んだ検査を実施。

次にどうするか?

さらなる病歴聴取や身体診察、検査を行い診断をする。

高齢者に多い原因は?

原因が複数あることもあるので注意すること。

・鉄欠乏性貧血・・・出血源を特定する必要がある。
・腎臓病/低酸素感知異常・・・クレアチニンクリアランス≦30ml/分なら危険性が高い
・骨髄異形成症候群
・原因不明

次回は貧血の管理について学びます。

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