海洋汚染の元凶の一つと呼ばれる、プラスチックバッグやポリ袋。実は傷の処置に使えるんです。
夏場は活動的になる季節。お子様の怪我も増えます。
今回はそんな時の処置方法、特に擦り傷での対処法をお伝えします。
まず、怪我をしたら傷口を水道水でよく洗い流します。なるべく、土など汚れを落としましょう。消毒液は不要です。傷に消毒液をつけると余計に傷口を傷めるので現在は勧められていません。
次に市販の傷を潤して治す絆創膏があれば最適ですが、その絆創膏では追いつかないような傷や、海外などでそのような絆創膏が手に入らない場合はどうしたら良いでしょうか?
実はスーパーで手に入るもので対処可能です。
準備するものは汁が少なかったり、出血が少量の場合はワセリンとラップとテープがあれば十分です。少し汁が多めだったり、出血がある場合はビニル袋やスーパーでもらえるポリ袋とガーゼまたは吸水パッドとテープを準備します。それとハサミ。ワセリンがあるとなお良いです。では、即席、上等絆創膏の作り方です。
①ビニル袋またはポリ袋の傷に当たる部分にハサミで切れ込みを入れます
③切れ込み部分が傷面に当たるようにして貼り付けます。ワセリンがあれば傷にたっぷり塗っておくと、痛みはかなり軽減されます
以上です。簡単ですよね。こうすることで傷から出る血液や汁をガーゼが吸収してくれる上に交換する時には傷にガーゼが引っ付いて痛い思いをすることがなくなります。
私も海外のトライアスロン大会の時に自転車で転倒して、背中に盛大に擦り傷をつくりました。海外の離島での大会だったので上等な絆創膏などはなく、スーパーで上記を取り揃えて処置をしました。
それでも、ご心配な場合や傷が深いかな、縫わないといけないかな?汚れがひどいなという時はすぐに受診するようにしましょう。
また、怪我から破傷風菌が入って、破傷風になることも稀にあるので、10年以上破傷風トキソイドを接種していなければ接種するために受診することをお勧めします。
ちなみに破傷風は日本でも年間1、2名発症すると言われており、発症すると全身の筋肉が硬直して非常に苦しい上に、ほぼ確実に死に至る病気です。
予防接種は一瞬ですが、ほぼ確実に破傷風を予防しますので10年以上、破傷風の予防接種を受けていない人は接種するようにしましょう。
七夕の夜に願いをこめて…いや、昼間でしたが(笑)、泉台集会所で「ほがらかトーククラブ」を開催しました!
今回のテーマは、当院のドクター・稲田による「認知症の予防」について。
参加された皆さまと一緒に、笑いあり・学びあり・ちょっぴり島根あり(?)の時間を楽しみました。
稲田の出身地・島根県に関するクイズで盛り上がりながら、
「認知症に必要なことって?」「予防ってどうすればいいの?」といった大事な話題もわかりやすく解説。
さらには、脳トレや軽い体操で、頭と体を同時にシャキッとリフレッシュ!
参加者からは
「これでもう泉台から新しい認知症の人は出ないかも?」
なんて頼もしい声も…(いや、油断は禁物です!)
次回の「ほがらかトーククラブ」は
9月1日(日)@泉台集会所にて開催予定!
司会は、笑顔の絶えないリハ長楽さん。
また皆さんと元気にお会いできるのを楽しみにしています!
こんにちは、こさか家庭医療クリニック院長の小坂です。
今回は「家庭医って、実はすごいんです!」というお話を、アメリカの医学雑誌 JAMA からご紹介します。
アメリカで2005年〜2015年にかけて行われた調査では、
人口10万人あたりの家庭医(プライマリ・ケア医)が10人増えると、平均寿命が約51.5日延びる
(JAMA Internal Medicine, 2019)
という結果が報告されました。
ちなみに、臓器ごとの専門医が10人増えても、寿命は約19日しか延びませんでした。
……ちょっと切ない数字差ですが、家庭医の底力を感じますね。
さらに、医療費との関係を調べた別の研究(Health Affairs, 2004)では、こんなことがわかりました。
専門医が人口1万人あたり1人増えると、医療の質はやや下がり、住民一人あたりの医療費が年間$526(約8万円)アップ
家庭医が1人増えると、医療の質が向上し、医療費が年間$689(約11万円)もダウン!
👛✨家庭医、まさかの“節約の味方”です。
専門医は特定の臓器や疾患に集中して診療しますが、家庭医は患者さん全体を診て、必要に応じて予防や早期介入もします。
つまり、**「こじらせる前に防ぐ」「本当に必要な治療に絞る」**という、じつに地味で実直な役割を果たしているのです。
とはいえアメリカでは、家庭医は専門医より給料が低いため志望者が少なく、実際に2005年〜2015年の間に数が減少してしまったそうです。これはちょっと残念…。
日本では現在、系統立てて研修を受けた**「家庭医療専門医・総合診療専門医」**が少しずつ増えています。
こさか家庭医療クリニックもその一員として、地域の皆さまの健康と安心をしっかり支えていきたいと思っています。
📣 なんでも相談できる「かかりつけ医」を、ぜひ味方につけてくださいね!
Basem Hassan et al.
“Association Between Physician Supply and Population Health Outcomes in the United States.”
JAMA Internal Medicine. 2019.
👉 https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2724393
Baicker K, Chandra A.
“Medicare spending, the physician workforce, and beneficiaries’ quality of care.”
Health Affairs. 2004 Jan-Jun; Suppl Web Exclusives:W4-184–97.
👉 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15451980/