こんにちは 院長の小坂です。
読者の皆さんはテレビ見ますか?私はほとんど見ていないのですが、今、唯一見ているテレビドラマがあります。
それは、毎週日曜日9時〜TBS系で放映されている「19番目のカルテ」です。
私たち、総合診療・家庭医療の業界内ではこのドラマの話題で大いに盛り上がっています。というのも、主役の松本潤さんが演じる徳重先生は病院に親切された総合診療科の医師だからです!!
総合診療医の仕事内容を一般の方達にとてもわかりやすく理解してもらえる内容だと思います。
包括的に診察することで診断につなげる。
患者さんの周りの家族にも気を配り、多職種と連携、調整する。
家族内の葛藤と病気との関係を明らかにする。
などなど。とてもドラマチックで毎回、じ〜んと目を潤ませながら視聴しております。
実際に毎回、全部の患者さんがあんなにドラマだったら、時間と体力がいくらあっても足りませんが、本当に必要と感じた時に総合診療医・家庭医の伝家の宝刀を出します。
あとはそうならないように毎回の診察で小出しにしていたりします。
もし、ご覧になったことがなければ、ぜひ一度見ていただくことお勧めです。
こんにちは、院長の小坂です。
今日はちょっと大事なテーマです。
みなさん、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」、ご存じですか?
……って聞くと、
「なんだそれ、美味しいの?」とか
「パソコンの部品のこと?」とか返ってきそうですが、残念、違います。
ACPとは、日本語では「人生会議」と訳されていて、
将来、病気や事故で自分で意思表示ができなくなったときに備えて、
「自分はどんな医療やケアを受けたいか」を、
あらかじめ話し合っておくという取り組みのことです。
たとえば、ある日突然、あなたが倒れてしまい、
救急車で運ばれ、人工呼吸器が必要になったとします。
そのときに、医師が家族に聞くんです。
「延命治療をご希望ですか?」
「心肺蘇生(心臓マッサージや電気ショック)を行ってもよいですか?」
でも家族は「え? そんなこと、聞いてないよ…」とパニックに。
その場で「うーん……うーん……」と悩んだ挙句、
「やれることは全部やってください」と言ってしまい、
本人の希望とは違う方向に進んでしまうことが実際にあります。
私たち家庭医は、いつもこう思っています。
「一番大事なのは、その人の“思い”」だと。
“長生きしたい”のも、“穏やかに最期を迎えたい”のも、全部OK。
ただし、どんな思いかを、ちゃんと共有しておいてほしいのです。
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だからぜひ、次の健康診断のついでに、
いや、焼き鳥屋でビール片手にでもいいから、
話してください。
「俺さぁ、もしものときは胃ろうはしたくないんだよね」
「ママ、もし意識がなくなったら、延命は希望する?」
そんな一言で、人生が変わるかもしれません。
ACPの目的は、命を縮めることではなく、
「その人らしい生き方・最期」を大切にすることです。
そして、家族にとっても、
「お母さんはこう望んでたんだ」
と知っているだけで、心が少し楽になります。
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私たち家庭医は、そういう「思いの橋渡し」が大好きです。
「ちょっと恥ずかしいけど話してみたい」
「紙に書いておきたい」
「家族とケンカにならないようにしたい」
そんなときは、遠慮なくクリニックで、または、訪問診療の診察の時にご相談してください。
「終活」って言うと、
つい“遺影”とか“墓”とか“資産整理”が思い浮かびますが、
“これからの選択”も、大事な終活の一つです。
あなたの「思い」、未来のあなたのために、
そしてあなたを大切に思う人のために、
今、少しだけ考えてみませんか?
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それではまた次回のブログで。
次は「在宅医療で実は便利な〇〇グッズ特集」でも書こうかな?
海洋汚染の元凶の一つと呼ばれる、プラスチックバッグやポリ袋。実は傷の処置に使えるんです。
夏場は活動的になる季節。お子様の怪我も増えます。
今回はそんな時の処置方法、特に擦り傷での対処法をお伝えします。
まず、怪我をしたら傷口を水道水でよく洗い流します。なるべく、土など汚れを落としましょう。消毒液は不要です。傷に消毒液をつけると余計に傷口を傷めるので現在は勧められていません。
次に市販の傷を潤して治す絆創膏があれば最適ですが、その絆創膏では追いつかないような傷や、海外などでそのような絆創膏が手に入らない場合はどうしたら良いでしょうか?
実はスーパーで手に入るもので対処可能です。
準備するものは汁が少なかったり、出血が少量の場合はワセリンとラップとテープがあれば十分です。少し汁が多めだったり、出血がある場合はビニル袋やスーパーでもらえるポリ袋とガーゼまたは吸水パッドとテープを準備します。それとハサミ。ワセリンがあるとなお良いです。
では、即席、上等絆創膏の作り方です。
①ビニル袋またはポリ袋の傷に当たる部分にハサミで切れ込みを入れます
③切れ込み部分が傷面に当たるようにして貼り付けます。ワセリンがあれば傷にたっぷり塗っておくと、痛みはかなり軽減されます
以上です。簡単ですよね。こうすることで傷から出る血液や汁をガーゼが吸収してくれる上に交換する時には傷にガーゼが引っ付いて痛い思いをすることがなくなります。
私も海外のトライアスロン大会の時に自転車で転倒して、背中に盛大に擦り傷をつくりました。海外の離島での大会だったので上等な絆創膏などはなく、スーパーで上記を取り揃えて処置をしました。
それでも、ご心配な場合や傷が深いかな、縫わないといけないかな?汚れがひどいなという時はすぐに受診するようにしましょう。
また、怪我から破傷風菌が入って、破傷風になることも稀にあるので、10年以上破傷風トキソイドを接種していなければ接種するために受診することをお勧めします。
ちなみに破傷風は日本でも年間1、2名発症すると言われており、発症すると全身の筋肉が硬直して非常に苦しい上に、ほぼ確実に死に至る病気です。
予防接種は一瞬ですが、ほぼ確実に破傷風を予防しますので10年以上、破傷風の予防接種を受けていない人は接種するようにしましょう。