今年は12月から例年よりも寒くなるという予報ですね。冬は多くのウィルス性感染症が流行します。風邪、インフルエンザ、ウィルス性胃腸炎、そして周期的に流行を繰り返す新型コロナウィルス感染症などなどです。こうした感染症にかかると日常生活に支障がでて、お仕事をお休みしないといけなくなったり、特にご高齢者の場合は食欲もおち、体力が低下して、肺炎や脱水症になりやすく、命に関わることもあります。
こうした感染症にかかったときには無理せずご自宅でゆっくり過ごすのが正解です。症状があまりに辛い場合や長引く場合は医療機関を受診するようにしましょう。これらのウィルス感染症には高齢物質は効かず、特効薬というものが存在しないので、予防が大切です。予防は先月、このニュースレターでもお伝えしたワクチンが有効ですが、ご自身の力だけでできることもいくつかあります。
手洗いは感染症予防の基本です。外出先から帰ったとき、食事前、トイレのあとは必ず石鹸でしっかり手洗いする様にしましょう。
マスクの着用
咳が出ている人、くしゃみが出る人は特にマスクしましょう。鼻水やツバにはウィルスがたくさん含まれており、くしゃみや咳で遠くの人にまでウィルスを飛ばして感染させます。それを防ぐのがマスクを着用する理由です。また、症状がない人もマスクを着用することで唾や鼻水による感染の確率がグッと下がります。コロナ禍の時に皆さんがマスク着用に協力していただいたおかげで日本は特に少ない新型コロナウィルスによる死亡車者数であった上、その他のインフルエンザ含めた感染症も減少したことが効果を証明しています。
栄養と睡眠、適度な運動
バランスの良い食事と十分な睡眠は健康維持の基本です。さらに適度な運動はウィウィルス感染症も減らすことがわかっています。
野菜、果物、豆類などのビタミン、食物繊維を多く含み、タンパク質、脂肪、糖分をバランスよく摂ることも大切です。
まずはご自身でできる感染予防をしましょう。そして、風邪かなと思ったら、まずはお家でゆっくり過ごしましょう
島医者になるために必要なことということでYouTubeアップしてみました。
1作目はいかに家庭医療・総合診療と日本の離島医療がマッチしているか?
2作目は院長が実際に経験して得た離島医療に必要な4要素をお話ししました。是非一度ご覧ください。
家庭医療専門医になるためにはポートフォリオの提出が必要になっています。ポートフォリオとは簡単にいうと実績レポートのようなもので、困難な症例をいかに苦労しながら学びにつなげていったのかを記載します。
このポートフォリオは専門医試験で重要で、勉強会が開かれたりしています。
この勉強会でポートフォリオの評価をすることがあります。エントリー項目で「生物心理社会モデルを利用した症例」というのがあります。この項目で時々、この生物心理社会モデルを3つの円で「生物」「心理」「社会」とわけて、重なるように描写されているのを見ることがあります。
わたしはこれはちょっと誤解しているなと考えています。
もともと生物心理社会モデル(bio-pshycho-social model: 以下BPS)はEngelという人が考えたものですが、私にはきちんとした文献はみつけられませんでした。治療成績の良い医師を分析するとこのモデルを利用していたというものだったと解釈しています。
『家族志向のプライマリ・ケア』(S.H.マクダニエル著)にも載っていますが、これには3つの円では表現されておらず、宇宙から原子まで矢印でつながっているように書かれています。
宇宙↔地球↔国↔地域↔家族↔個人↔臓器↔細胞↔分子↔原子
私も家庭医療の専攻医だったころにポートフォリオの勉強会でこのような3つの円の図を書いていました。しかし、指導医からイメージとは違うと言われ、確かに違うよなと思うようになりました。どちらかというと、全部が連なっているような『家族志向のプライマリ・ケア』に描かれているようなイメージが近いかなと思っていました。
でも、偉い先生方の表現に反抗するようですが、今はこれにも違和感を覚えています。
直線的なつながりではなく、どちらかというともっと包括的な見方のように思うのです。
社会(単純化のために宇宙や地球もここに含まれるものとする。)の中に生物が内包されていて、さらにその中に心理が内包されているようなイメージです。なので、心理は臓器と同等かやや上位くらいのイメージです。
このイメージでいくと、生物にもっとも影響を及ぼすのは社会になります。
実際に社会の変化で人間の行動は変ります。行動がかわれば健康状態もかわります。
例えば、たばこ税があがれば禁煙する人は増えます。富の格差がひろがれば平均寿命は縮まります。それは一個人の行動以上に個人に影響をもたらします。
そして、心理はなぜ生物の内側なのかというと、心理なくしても生物たりうるからです。逆に生物の部分がなくなれば心理は存在できません。
それは逆方向に行くと地球がなければ、人間は存在できない(今のところ)というような感じです。
つまりBPSを利用した問題解決とは、かなり包括的というか、もっと全体的な見方をしているということだと考えます。
それは季節の移ろい、太陽と月の周期、社会情勢、文化、風俗、医師である自分自身も含めた患者さん周囲の状況、そして患者さんの行動や健康にどう影響しているか?心理にどう影響しているのか?経験を含む心理あるいは他臓器と健康・行動との相関はどうか?健康・行動は社会にどう影響しているか?
患者さんをとりまく全体をありのままに捉えて、癒やしにつなげていく、治療の糸口を見つけるということだと考えています。
余談ですが、私、結構、星占いや風水とか好きなんです。さすがに治療に星占いや風水は用いてませんが、ひょっとしたら科学的に検証すれば星の運行を参考にしたケアや風水的な環境改善で健康状態が良くなることが判明することもあるんじゃないかと考えています。